会社員の場合は年末調整がありますが、個人事業主は毎年自分で確定申告をする必要があります。
確定申告には指定の書式があり、提出先と期間も定められています。
確定申告はいつ、どのように手続きすればよいのでしょうか?確定申告書類の書き方や提出方法、注意点などについて、詳しくご紹介します。
1.確定申告とは?手続きの概要
確定申告とは、毎年の所得をもとに、個人や法人が納税額を税務署に申告する手続きを言います。所得とは、1年間の収入と必要経費の差額です。所得の合計額にもとづき、納税額と還付税額を計算して申告します。
○確定申告をする必要がある方
・事業所得者(個人事業主、自営業者、フリーランス)
・給与所得者で、2カ所以上から所得がある場合
・副業で20万円以上の所得がある場合
・配当所得、不動産所得、山林所得がある場合
・譲渡所得、退職所得、一時所得、雑所得がある場合
○確定申告の時期
2020年の確定申告期間は、2月17日(月)〜3月16日(月)です。
2019年1月1日〜12月31日までの1年間の所得が対象になります。
○確定申告の方法
確定申告書類の提出には、3つの方法があります。
・直接提出
住所地を管轄する税務署に、所定の申告書を持参します。税務署の開庁日時は、月曜日から金曜日の午前8時30分〜午後5時までです。申告期間中に限り、土日祝日や夜間の提出を受け付ける税務署や、自治体で確定申告会場が設けられる場合もあります。
・郵送
管轄の税務署宛に申告書を郵送します。2020年3月16日の消印まで有効です。
・インターネットでの電子申告(e-Tax)
申告期間中24時間利用可能で、スマートフォン版もあります。あらかじめ、利用登録と電子証明書の取得が必要です。税金もインターネットで納付できます。
e-Tax
https://www.e-tax.nta.go.jp/
2.確定申告の用紙はどこで入手できる?
確定申告の用紙は、全国の税務署や確定申告会場、市区町村の担当窓口などで入手できます。
国税庁のホームページからもダウンロードが可能です。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/01/shinkokusho/02.htm
また、オンライン上で所定の項目に入力すると確定申告書が完成するページがあります。
国税庁:確定申告書等作成コーナー
https://www.keisan.nta.go.jp/kyoutu/ky/sm/top#bsctrl
ここで作成した申告書は、印刷での郵送提出やインターネット申告(e-Tax)に使用できます。
3.確定申告書類の種類とそれぞれの目的
確定申告書類は、申告書A・Bの2種類があります。
○申告書A
主に会社員やアルバイト、パートの方向けの申告書です。
所得の種類が給与所得、公的年金、その他の雑所得、 配当所得、一時所得のみで、予定納税がない場合に使用します。予定納税とは、前年の所得税が15万円以上の場合に前払いする税金のことです。
○申告書B
所得の種類に関係なく、誰でも使用できます。主に自営業者や個人事業主、副業の事業所得がある会社員向けです。
また、確定申告には青色申告と白色申告の2つの方法があります。
○青色申告
事前申請の上、複式簿記で損益計算書と賃貸借対照表を作成し、申告する方法です。白色申告より作成項目が多くなりますが、以下のようなメリットがあります。手間がかかる分、節税の効果は高いのが青色申告です。
・65万円の特別控除を受けられる
・赤字の3年間繰越が可能
・家族への支払給与を経費計上できる
・パソコンなど事業用資産は30万円未満まで一括減価償却可能
・自宅=オフィスなら家賃や光熱費も経費計上できる
○白色申告
収支の計算がシンプルな単式簿記で申告する方法です。所得金額は、1年間の売上額から必要経費を引くことで計算します。申告にあまり手間がかからないのがメリットですが、青色申告で得られる特別控除や優遇措置、赤字の繰越などは受けられません。
4.確定申告書類の書き方は?
以下の手順で、申告書に必要事項を記入します。
1.住所、氏名、連絡先などの記入
2.所得金額(収入から必要経費を引いた額)を計算する
3.所得控除(保険料支払などの控除)を計算する
4.納税額の計算
5.その他、還付金(税金が返ってくる場合)の入金先金融機関などの記入
申告書の詳しい記入例は、国税庁のホームページで確認できます。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kisairei2017/index.htm
5.確定申告の手続きの流れと注意点など
○確定申告の手続きの流れ
1.申告に必要な書類を準備する
(例)
・源泉徴収票の原本(給与所得、公的年金など)
・私的年金などの支払金額が分かる書類
・医療費の領収書
・控除証明書(社会保険料、国民年金保険料、生命保険料、地震保険料など)
・寄附金の受領証 など
2.申告書AまたはBを作成する
1.で準備した源泉徴収票などの書類がある場合は、添付します。
3.期間内に申告書を提出する
4.納税または還付を受ける
口座振替による納税か、申告をした税務署で現金で納税します。インターネット(e-Tax)での納付も可能です。税金が返ってくる(還付)場合は、申告から約1〜2ヶ月後、申告書に記入した金融機関へ入金されます。
○確定申告の注意点
申告期間の終了間際になると窓口が混雑します。手続きはなるべく早めに済ませましょう。郵送で申告する場合、消印の日付=提出日となるため、投函期日に注意が必要です。
確定申告期間を過ぎても申告は可能ですが、無申告加算税や延滞税が課される場合や、青色申告者の特別控除が受けられない場合があります。期間内に申告しましょう。
まとめ
確定申告には種類があり、それぞれ提出物が異なります。申告書の作成は難しそうな印象がありますが、国税庁ホームページの申告書作成コーナーを利用すれば便利です。申告書の提出も、忙しい方は時間をかけず、インターネットや郵送を活用できます。確定申告は決められた期間内に、きちんとおこないましょう。