確定申告、医療費控除 明細書、書き方、用紙の入手、上限金・期間など

1年間に支払った医療費が特定の条件を満たすと受けることができる医療費控除。

申請をするためには、所定の明細書を記入し提出する必要がありますが、方法をあまりご存じない方も多いと思います。

「医療費控除ってどうやって受けるの?」
「医療費控除はそもそもどういう仕組み?」

と疑問に思われている方のために、今回は医療費控除を申請する際の明細書の書き方や、用紙の入手、上限金・期間などについて簡単に解説していきます。

3分程度で読めますので、ぜひ最後までチェックしてみてください。

 

 

1.確定申告 医療費控除 明細書について

確定申告の際に、医療費控除を申請するときは、医療費控除の額を申告するだけでなく、明細書に記入をする必要があります。

医療費控除の対象となる金額は、以下のとおりです。

(実際に自己負担した医療費の合計額)−(保険金などで補填される金額)-10万円

このうち「保険金などで補填される金額」には、次のものが該当します。

・生命保険契約から給付された入院給付金など
・健康保険組合から支払わられた、高額療養費や出産一時金

つまり実際にかかった医療費ではなく、自己負担した医療費から、生命保険や健康保険などで補填された金額を除いた額のうち、10万円を超えた分が所得から控除されます。

なお医療費控除は、必ず確定申告で行う必要があり、会社等の年末調整では行えません。

また確定申告を行う際は、給与所得がある方の場合、源泉徴収票が必要となりますので、会社から発行されたら捨てないで保管しておきましょう。

 

◯医療費控除の明細書は平成30年から必要になった

医療控除の明細書が必要になったのは、平成30年の申告分からで、それまで必要であった領収書の添付がなくなった代わりに、医療費控除の明細書が必要となりました。

領収書に書いてある項目を転記する必要がありますが、領収書は提出する必要がない代わりに5年間は保存しておかなければなりません。

 

◯セルフメディケーション制度とは選択制

医療費控除と似たような制度に、「セルフメディケーション税制」があります。
これは平成29年から始まったもので、対象の医薬品を購入した合計が1万2千円を超えた場合、その超えた分を所得から控除してくれる制度です。(最大8万8千円)

医療費控除とは選択制ですので、医療費控除をセルフメディケーション制度のどちらかを選択して申請する必要があります。

 

 

2.確定申告 医療費控除 明細書の書き方について

それでは医療費控除の明細書の書き方について簡単に解説していきます。

◯医療費控除の明細書は、大きく3つ記入する場所がある

医療費控除の明細書は、「1 医療費通知に関する事項」「2 医療費(上記以外)の明細」「3 控除額の計算」の3つに分かれています。

「1 医療費通知に関する事項」は、健康保険組合の「医療費のお知らせ(医療費通知)」があった場合に、項目に各金額の合計を記入し、医療費通知を添付して提出するだけで申告をすることが可能です。

しかし、医療費のお知らせを無くしてしまった場合や、そもそも医療費のお知らせが届かないケース(自然分娩)にて出産を行なった場合などは、「2 医療費控除の明細書」に記載していく必要があります。

「2 医療費控除の明細書」には、医療を受けた人別に、病院・薬局ごとに医療費を集計し、合計額を転記します。

記載する項目は、下記の5つの項目です。

(1)医療費を受けた方の氏名
(2)病院・薬局などの支払い先の名称
(3)医療費の区分
(4)支払った医療費の額
(5)(4)のうち生命保険や社会保険などで補填される金額

このうち、⑶に関しては、以下の4つから該当するものをチェックする形となります。

□診療・治療
□介護保険サービス
□医薬品購入
□その他の医療費

この項目に記載する時、「医療を受けた方の氏名」「病院薬局などの支払い先の名称」ごとに記入することが可能です。

「3 控除額の合計」は、実際の医療費控除額を記載する際に利用しますが、「確定申告コーナー」から入力して作る場合、自動で計算されるため、入力は不要です。

 

◯「2 医療費控除の明細書」はまとめて記入できる

例えば、医療を受けた人を仮にAさんとし、医療を受けた病院をB病院とします。
B病院で、診療(3,000円)と医薬品の処方(1,000円)を同時にしてもらった場合、上記の⑴〜⑸には

⑴:Aさんの氏名
⑵:B病院
⑶:診療・治療と医薬品購入にチェック
⑷:4,000円(3,000円+1,000円)
⑸:空欄

と記載することができます。
もちろん、間違えて違う欄に別々に書いてしまったとしても、不備にはならないので、ご安心ください。

◯医療費控除のフォーマットも大幅に変更されている

医療費控除の明細書は、これまでの医療費控除のフォーマットに記載する必要のあった

・治療内容・医療費
・治療を受けた人の続柄
・病院・薬局の所在地

などを記載する必要がなくなりました。
その代わり、医療費の区分を以下の4つから選びチェックマークを入れる方式に変更されています。

ただし、現在は新しいフォーマットへの移行期間中とされており、平成29年分から平成31年分(平成30年3月期確定申告から平成32年3月期確定申告分までは、従来の領収書添付でも構いません。

 

3.確定申告 医療費控除 用紙の入手について

医療費控除の明細書は、国税庁のホームページから入手できるだけでなく、「確定申告書作成コーナー」で申告書を作成することも可能です。

さらに平成31年の確定申告から、スマートフォンやタブレットからも申告ができるようになっています。

 

 

4.確定申告 医療費控除 上限金、期間など

医療費控除の対象となる期間や、上限などは以下の通りです。

・期間:1年(1月〜12月)
・上限:200万円まで
※ただし、その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額

注意すべき点は、先ほども解説したように、控除の金額は自己負担した医療費のうち、「保険金などで補填される金額」を引いて10万円を超えたものが対象です。

先ほど解説した、生命保険の入院給付や健康保険の高額療養費、出産一時金の他にも以下のものがあります。

・損害賠償金、補てんを目的として支払われたもの
・その他給付金、医療費の補てんを目的として支払われたもの

なども対象のため注意が必要です。

このように確定申告の医療費控除には、明細書による申告が必要で、決まり事も細かく存在します。