年末調整の返金・計算 、用紙の入手、書類の種類・目的、書き方、注意点など

毎年年末になると会社から年末調整の案内が届くかと思いますが、年末調整が何のために行われているかを、ご存知ない方も多いのではないでしょうか?

中には面倒だと感じて年末調整の申告をしていないという人もいるかもしれません。

しかし年末調整は、きちんと申告しなければ、数万円もの損をしてしまっている可能性があります。

「年末調整が何なのか今更聞けない」

という方のために、今回は年末調整をなぜ行う必要があるのかだけでなく、年末調整の用紙の入手、書類の種類・目的、書き方、注意点などについても分かりやすく解説しています。

また、みなさんが気になるのは、やはり

「年末調整で還付金がどのくらいあるのか?」

という方が多いのではないでしょうか。この年末調整の還付金のことについても説明していきますぜひ最後までチェックしてみてください。

 

1.年末調整について(概要)

 

年末調整とは、自分の正しい所得を申告し、正しい税金(所得税)を収めるために行う手続きのことを言います。

給与などで収入を得た場合、得た収入の額に応じて、所得税を払わないといけません。

通常、所得税を支払う時は、年収を元に自分で所得税を計算し、確定申告をするがありますが、会社勤めの方の場合は、所得税の計算と納付を、勤務先が代行して行なってくれます。

このとき勤務先は、従業員の毎月のお給与から、所得税の分を天引きして徴収しますが、この金額は、大まかに計算された概算の額に過ぎません。

所得税の額は年収の額だけでなく、以下などの要件によって大きく変わります。

・配偶者の有無や配偶者の年数
・家族構成
・生命保険などの加入の有無
・住宅ローンの有無

このような事情を会社が全て把握することが難しいので、年始の状況で大体の所得税の額を計算し従業員から徴収し、年末に従業員から正しい状況を申告してもらうことによって、正しい所得税の額を計算し納めます。

◯所得税は年収の全てに課税されるわけでないない

所得税は、1年間の収入に所定の税率をかけて算出されますが、年収全てが計算の対象となるわけではありません。

所得税を計算する際は、年収の総額から、「給与所得控除」と「所得控除」を差し引いたもの(課税所得)に、課税所得の額に応じた税率をかけて計算されます。

それぞれについて簡単に解説していきます。

 

・給与所得控除

給与所得者の場合、給与を得るためには一定の経費がかかっている(スーツ代や筆記用具などの備品購入費用)と考えられるため、一定額は所得税の計算対象から省いてくれます。

この省かれる額を給与所得控除といい、年収の額によって計算されるため、従業員が何か書類を記入する必要はありません。

・所得控除

一定の収入以下の配偶者がいたり、生命保険に加入していたりするなど、一定の条件を満たした場合に受けられる控除制度です。

年末調整で行う申告は、この所得控除の額を正しく計算することにり、従業員ごとの正しい所得税の額を計算します。

そして多く徴収した分は従業員に返金し、足りない部分は追加で徴収する形となります。

 

2.年末調整、用紙の入手について

年末調整の際に記入する書類は、会社から年末調整の時期になると会社から配布されたり、会社のシステムからダウンロードしたりして入手します。

また、自分でも国税庁のHPからPDFファイルやExcelファイルで入手することが可能です。

また人事労務freeeなどの、年末調整用のソフトを導入している企業は、従業員に情報を直接入力してもらう会社も存在します。

 

3.年末調整、書類の種類と目的について

年末調整の際に記入するものは大きく分けて以下の3種類です。

・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

従業員に16歳以上の子供や、障害者に該当する家族などがいないかどうかを申告する書類です。

・給与所得者の保険料控除申告書

従業員が加入している生命保険や地震保険などを申告する用紙。
加入している生命保険について記入し、保険会社から送付されてくる「控除証明書」とともに会社に提出します。

・給与所得者の配偶者控除等申告書

従業員に、配偶者控除または配偶者特別控除に該当する配偶者の有無を申告する用紙です。
配偶者の収入が、201万円以下の場合に記入する必要があります。

これらの用紙を記入し申告することにより、正しい「所得控除」の額を計算し、従業員の適正な所得税を算出します。

◯保険料控除申告書と配偶者控除等申告書は一枚だった。

以前は保険料控除申告書と配偶者控除等申告書は一枚で、「保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書」という申請用紙でした。

しかし、平成30年から配偶者控除制度が見直しとなり、大きく以下の2点が変更となりました。

・本人の所得額によって配偶者控除が変動するようになった
・配偶者特別控除が適用される配偶者の収入が引き上げられた

これに伴い、申告書の記入欄が変わり、申告書も保険料と配偶者で分割されました。

 

4.年末調整、書類の書き方について

ここではそれぞれの申告書の書き方を簡単に解説します。
今回は記載する人が、会社員などの場合について説明しているので、確認してみてください。

◯各書類の共通事項

それぞれの書類に、共通している項目を解説していきます。

・給与の支払者の名称、住所など
→勤務先の名前や住所などを確認

・あなたの氏名、個人番号、住所、生年月日等
→マイナンバーも記載する必要があるため注意しましょう。

◯給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

源泉控除対象配偶者(年収が103万円以下の配偶者)や16歳以上の扶養家族の

・氏名
・個人番号
・生年月日
・所得の見積額
・本人との続柄(16歳以上の扶養家族のみ)
・老人扶養親族、特定扶養親族の該当(16歳以上の扶養家族のみ)

などを記載する必要があります。
また、障害者の扶養家族についても記入欄、一般・特別などに分けて記入する必要があります。

◯給与所得者の保険料控除申告書

生命保険料や地震保険料、社会保険料、小規模企業共済(iDeCo含む)などを記入する必要があります。

また生命保険料は、一般・介護医療・個人年金の3分野、新制度と旧制度の2制度に分けて記入しなければいけません。

詳しくは、保険会社より送付される「控除証明書」を参照してください。

◯給与所得者の配偶者控除等申告書

配偶者の氏名、個人番号、生年月日、所得の見積額に加えて、所得の判定にチェックが必要です。
その後、本人と配偶者の給与収入と所得を記入する必要があります。

ここで記載する所得とは、収入から給与所得控除を引いた後の金額ですので、計算が必要ですので、注意しましょう。

5.年末調整、手続きの注意点など

年末調整の手続きを行う際は、以下の点に注意しましょう。

◯必ず期日に行う

年末調整は必ず決められた期間内に行う必要があります。
この時会社によっては申告の期間が短く、期間を過ぎると年末調整を受け付けてくれない会社もあるため、期間の事前確認と、早めの書類提出を心がけましょう。

◯控除証明書を捨てな

保険料控除申請書を記載する際は、 控除証明書をもとに記載する必要があるだけでなく、控除証明書の原本を会社に提出する必要があります。

控除証明書は保険会社によってははがきのような形をしているため、誤って捨ててしまわないように注意しましょう。

◯配偶者控除の変更点を理解する

配偶者控除の見直しは、仕組み的に少し複雑なために、申告書を記載する時も苦労するかもしれません。

このため、 配偶者控除の条件などは事前に確認しておくようにしましょう。

このように年末調整には記載すべき書類や注意すべき点がたくさんあります。
この記事であげたことはほんの一部にすぎませんので、詳しい情報はこちらのサイトを見ていただくと分かりやすいかと思います。

申告の期限寸前で慌てるのではなく、事前に勉強しておき、スムーズに申告できるようにしましょう。

年末調整でいくらお金が戻ってくるの?

年末調整は、あなたが今年の給料から毎月徴収されていた所得税が多すぎた場合にお金を還付金として戻してくれる場合が多いので

「今年はいくら戻ってくるのかなー」とお小遣いのように楽しみにされる方もいるようです。

職場では11月ごろになると「今年の年末調整は・・・」なんて話題も出てくることもあるかもしれません。

そこで気になってくるのが、「いくら戻ってくるのか?」ですよね。これは支払った保険料の金額や結婚しているか、扶養家族がいるのか、住宅ローンがある

のかといったことによっても変わってきます。

年末調整の還付額は、人事労務フリー(https://www.freee.co.jp/hr/yearend/simulation/)というサービスでカンタン診断ができます。これは見込み年収や毎月

の保険料、所得税額がわかれば還付額が診断できます。

 

 

なお、人によっては還付ではなく、追加で支払いする必要が出てくる場合もあります。

また会社経営されている方は、従業員がいる場合、年末調整が必要となります。会社を起業したばかりの方は慣れていないことで対応が遅れてしまったり
必要以上に時間を費やしてしまう場合があります。

年末調整の代行ができるのは、税理士のみになります。税理士は高いのでは?と思うかもしれませんが、年末調整の依頼を10名以下の従業員の環境で依頼するのであれば、1万円から3万円前後でできる税理士事務所がほとんどなので想像ほど高くないかもしれません。

どの税理士がいいかわからない場合は、税理士ドットコムのように数千人の規模の税理士を管理しているようなところを介して求める税理士の条件を伝え、無料で紹介してもらうのがよいのではないでしょうか。