確定申告 医療費控除 明細書、必要な書類、控除対象・書き方、参考例・シュミレーション

医療費控除という単語は聞いたことあるけれども、

 

ポイント

  • 申請の際にどのような書類が必要なのか
  • いったい何が控除の対象となるのか

 

などが分かっていない方もいらっしゃるかと思います。

今回は医療費控除について、申請に必要な書類や書き方について解説しているだけでなく、書き方のシミュレーションも解説しています。

まだ医療費控除について何も準備できていないという方にもわかりやすい内容となっていますので、最後までご覧ください。

 

①.確定申告 医療費控除 明細書について

 

確定申告で医療費控除を申告する際は、医療費控除の明細書を記入する必要があります。

これまでの医療費控除の申告の仕方は、確定申告書と共に医療費の領収書を提出するという方法で、このような明細書は存在しませんでした。

 

しかし平成30年の確定申告より、医療費控除の申告の仕方が変更になり、領収書の添付が必要無くなった代わりに、医療費控除の明細書を記入して提出することとなりました。

(ただし、領収書は確定申告から5年間自宅で保管する必要があります)

 

医療費控除で記入する箇所は、「1 医療費通知に関する事項」「2 医療費(上記以外)の明細」「3 控除額の計算」の3つです。

 

「1 医療費通知に関する事項」は、健康保険組合から送られてくる「医療費のお知らせ(医療費通知)」を元に、1年間で発生した医療費などを記入します。

この箇所に記入し、医療費通知を添付して提出することにより、簡単に医療費控除が申告することが可能です。

 

「2 医療費(上記以外)の明細」は、支払った領収書などを元に、支払った医療費の額や、医療費を支払った先の病院・薬局などの名称を記載します。

ただし、「1 医療費通知に関する事項」に記載したものについては、記入する必要はありません。

 

「3 控除額の計算」は、実際に支払った医療費などから、実際の医療費控除の額などを計算して記入します。

ちなみに「確定申告書作成コーナー」から作成した場合は、この項目は自動で入力されるため、計算する必要はありません。

 

②.確定申告 医療費控除 必要な書類について

確定申告で医療費控除を申告する際は以下の書類が必要となります。

 

ポイント

  • 医療費控除の明細書
  • 確定申告書(会社員の場合はA様式)
  • 源泉徴収票(勤務先で作成されるもの)
  • 医療費通知書

 

このうち、医療費通知書は使用しない場合は必要ありません。

また、上記以外にも確定申告自体に必要な書類があるため注意しましょう。(マイナンバーカードなど)

 

また、領収書の提出は必要ありませんが、確定申告から5年間は自宅で保管しておく必要があり、税務署から問い合わせがあった際に見せられるようにしておく必要があります。

 

③.確定申告 医療費控除 控除対象・書き方について

それでは実際の医療費控除の明細書の書き方を以下のケースで解説していきます。

ここでは、「2 医療費(上記以外)の明細」の書き方について、例えば1年間で以下の方々がそれぞれ治療を行なった場合

 

氏名:医療太郎

支払先の病院名:〇〇病院

医療費の額:120,000円(医療)

社会保険などで補填された額:40,000円

 


氏名:医療太郎

支払先の病院名:△△薬局

医療費の額:5,000円(医薬品)

社会保険などで補填された額:0円

 


氏名:医療花子

支払先の病院名:××診療所

医療費の額:5,000円(医療)、1,000円(医薬品)

社会保険などで補填された額:0円

 

このようなケースの場合は、「2 医療費(上記1以外の)の明細」以下のように記入します。

 

(1)医療費を受けた方の氏名 (2)病院・薬局などの支払い先の名称 (3)医療費の区分 (4)支払った医療費の額 (5)(4)のうち生命保険や社会保険などで補填される金額
医療太郎 〇〇病院 ☑︎診療•治療費 □介護保険サービス

 

□医療品購入 □その他の医療費

120,000円 40,000円
同上 △△薬局 □診療•治療費 □介護保険サービス

 

☑︎医療品購入 □その他の医療費

5,000円
医療花子 ××診療所 ☑︎診療•治療費 □介護保険サービス

 

☑︎医療品購入 □その他の医療費

6,000円

 

人ごと、支払先の病院ごとに分けて記入することが可能なので、医療花子さんの場合は医療費の区分に2つチェックを付けて、金額を合計して記入することが可能です。

 

④.確定申告 医療費控除 参考例・シミュレーション

 

次に医療費控除の額を以下のケースでシミュレーションしてみましょう。

先ほどお伝えしたように医療費控除の額は、「3 控除額の計算」に記入します。

 

申告者:医療太郎

年収:500万円

給与所得控除後の金額:3,460,000円

支払った医療費の合計:600,000円

保険金などで補填される金額:420,000円

 

上記のようなケースでは、以下のように記入します。

 

支払った医療費 (合計)                      円

600,000

A
保険金などで

補填される金額

 

420,000

B
差引金額

(A-B)

(赤字のときは0円)

180,000

C
所得金額の合計額

 

(赤字のときは0円)

3,460,000

D
D×0.05

 

 

173,000

E
Eと10万円のいずれか少ない方の金額  

100,000

F
医療費控除額

(C-F)

(最高200万円・赤字のときは0円)

80,000

G

 

AとBはそのまま支払った医療費と補填される金額を記入し、CはA-Bで求めます。

 

Dに記入する項目は、年収の総額ではなく、源泉徴収票に載っている「給与所得控除後の金額」であるため、計算が必要です。

 

給与所得控除の計算方法は、年収によって違うため、以下のサイトを見ていただくと分かりやすいです。

https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/1410.htm

 

 

年収500万円の場合の計算式は、「収入金額×20%+540,000円」のため、給与所得控除額は

5,000,000円×20%+540,000円=1,540,000円となります。

これを年収から引いた、

5,000,000円-1,540,000円=3,460,000円

が給与所得控除後の額となり、これを所得金額の合計に記入します。

 

EにはDの5%を記入するため、

3,460,000円×5%=173,000円

を記入します。

 

FにはEと100,000円のどちらか大きい方を記入するため、今回は100,000と記入します。

 

GにはCからFを差し引いた額を記入するため、

180,000円-100,000円=80,000円

となり、この額が医療費控除額となります。

 

以上が医療費控除の明細書の記入の仕方です。

少し複雑と感じる部分もあるかもしれませんが、仕組みを理解することにより簡単に記入することができます。

 

場合によっては大きな節税効果を得られる場合もあるため、しっかり申告するようにしましょう。